カーボカウントセミナー講師
大阪市立大学 大学院医学研究科
発達小児医学 川村智行先生
(制作当時。現在は、あべのメディカルクリニック 院長)
料理レッスン担当
ABCクッキングスタジオ講師 芝池先生
カーボカウントに関するご質問(質問をクリックすると回答が出ます)
川村先生:料理中に少し味見するくらいでは血糖値は上がらないでしょう。カーボカウントセミナーでは「10gの糖質でおよそ50mg/dL血糖値が上がります」とご説明しましたが、味見する量に含まれる糖質量が2~3gくらいであれば、血糖値は上がらないと考えていいと思います。
川村先生:やはり、見積もりが大事だと言えますね。手まり寿司1個分の見積もりとしては少しの差でも、それが2個や3個とたくさんになってしまうとインスリンの量が大きくずれ、低血糖になることがあります。見積もりの練習をふだんから心がけておくことが大事です。今回は画面上での見積もりだったので大きさを判断しにくくて多くなってしまったかと思いますが、ふだんの食事で「見積もる」ということを心がけてみてください。
川村先生:とても大事な質問です。血糖値の上昇は食べる順番で影響を受けます。特に、糖質を含み、吸収が早いものを先に食べてしまうと早く血糖値が上がってしまいます。脂の入ったものや野菜を先に食べ、糖質を多く含む食べものを後ろに持ってくることで血糖値の山を低くすることができます。どの時間帯でインスリンを投与するか、にもよりますが、インスリンを打ってから糖質を食べるまでの時間によって、食後1時間から1時間半の血糖値が上がるタイミングを変え、山の高さを低くすることができます。ぜひ参考にしてください。
川村先生:大事なポイントを見逃さずにご覧いただきありがとうございます。砂糖の量は本来であればカウントすべきです。今回は胡麻和え、薄焼き卵にも砂糖が入っていますが少量だったので、カウントしませんでした。ただ、たくさん砂糖を使う、というメニューであればカウントしなければなりません。
川村先生:どういう雑穀を食べているか、にもよりますが、全体の糖質量としては白米だけのときと変わらないと思います。雑穀にも糖質が含まれているので、お茶碗一杯分の糖質量はさほど変わらないでしょう。ただ、グライセミック・インデックス(GI値)といって、食品中に含まれる糖質の吸収されやすさの違いによって、血糖値の上昇スピードは変わります。雑穀はこのGI値が低いのでもしかすると、インスリンの量は変わらないが糖質の吸収がゆっくりになって、食後の血糖値上昇の山が低くなるという効果があると思います。食物繊維やビタミンも多いので、雑穀の入ったご飯を食べることは、健康のためにはいいと思います。
川村先生:食材の量までいちいち計って料理するのは大変ですね。そこまでする必要はないと思いますが、糖質のほとんどは、ご飯や、パスタなどの麺、パンに含まれるので、きちんと計る方がいいですね。おかずについては、例えばみりんや砂糖を使って作った場合の糖質量は、大皿に入っているときは10g、小皿なら5g、を目安にプラスとよいでしょう。揚げ衣などのついたメニューは10gほどプラスするなど、おかず全体でざっくりと20g、と見積もるのもひとつ。サラダに芋類が入っている場合は(親指と人差し指で)OKの形を作って、その「O(オー)」の大きさに入る量での糖質量をざっくり5gと見積もるのもおすすめです。料理が出来上がってから、食べるときのカウントでいいと思います。大事なポイントですから、ゆっくりと練習していきましょう。失敗したときは、同じものを次に食べる機会に別の計り方に変えて試してみるなど、慣れていくことが大事ですね。
川村先生:普段からの練習が大事ですね。ごはん100gで糖質は35g、ということをまずは覚えておいて、ふだん自分が食べるご飯の量を計っておいて、糖質量も覚えてしまうことが大事ですね。毎回計っていれば、自分がお茶碗1杯で何gほど食べているのかもわかってきます。そうすれば毎回計る必要はなくなります。また、おかずの糖質量はざっくりと20gと覚えておくとよいですね。市販品であれば、食品成分がラベルに書いてあるので、炭水化物の表示g量をみて、自分の見積もりと表示が合っているかを照らし合わせて練習するのもいいですね。炭水化物には食物繊維が含まれていますが数グラムなので、食品成分に記載されている「炭水化物の量=糖質の量」と考えていい食品がほとんどだと思います。仮に、食物繊維が多ければ食物繊維の量と糖質量を分けて表示されているはずなので、その場合は糖質量の記載をチェックするようにしましょう。また、カルタのように遊びながら見積もりの練習ができるカーボフラッシュカードというものもあるので、ぜひ活用してみてください。
川村先生:パスタの糖質量はパッケージの表示通りでいいと思いますが、うどんやご飯よりも糖質の吸収スピードが遅いので(GI値が高い)、食前にせっかく投与したインスリンが先に効いてしまって、2~3時間後に血糖値が上がってしまうということがあります。パスタそのものも吸収が遅いですし、オリーブオイルやベーコンなどの脂を含むと余計に吸収が遅くなってしまいます。従って、吸収のタイミングを見計らって、食後にインスリンを投与するとか、ポンプをお使いの方はスクウェアウェーブという機能(1時間から2時間かけてゆっくり投与する)を使うなどして調整してみてください。また、複数の投与でもいいということであれば、食前・食後と2回に分けて投与する、などしても、食後の高血糖を回避するなどの工夫ができますね。パスタの種類にもよるので、ぜひ経験を積んで、練習をしていくといいと思います。
料理に関するご質問
芝池先生:薄焼き卵をひっくり返すときに(今日は菜箸を使いましたが)フライ返しを使う、というのもひとつのポイントです。また、一番大事なのは火加減です。フライパンに卵液を入れるとき、火が弱いと卵が破れにくくなるため、フライパンがしっかりと温まっていることを確認してから試してみてください。
芝池先生:卵を割るときに、ボウルやフライパンなどのフチで割る方もいらっしゃると思いますが、殻がぐちゃっと割れてしまい、黄身も割れてしまうこともありますよね。平らなところでコンと割ると上手に割ることができます。ぜひ試してみてください。
その他のご意見