現在は56歳ですが、発症は34歳の時でした。発症したときは、「なんで私が・・・」という気持ちになりました。でも、メジャーリーガーで1型糖尿病患者であるガリクソンのように、糖尿病でも偉大な記録を残し、努力を続けた人もいます。私も1型糖尿病になったから、結果として私は暴飲暴食をしないですんでいるとも言えます。月に1回検査がありますが、それが私の心のブレーキになっているというのは確かなこと。無病息災ならぬ“一病息災”の気持ちで前向きな日々を過ごしております。
糖尿病というと2型糖尿病のイメージが強いため、1型糖尿病の説明することが煩わしく、また、両親には心配をかけたくないという気持ちがあり、糖尿病であることは同居している家族以外には、両親にも職場の同僚・両親にも知らせていません。
私は大学で教鞭を執っているのですが、実は、定年を迎えるときの記念講演で、1型糖尿病のことを公表する予定です。同僚や学生たちを前に、1型糖尿病を適切に理解してもらうきっかけになればと考えています。私は徒歩通勤していますし、毎日筋トレしていることや週末ロードバイクで出かけていることなども学内では知れ渡っているので、みんなびっくりすることでしょう。どんなに健康的な生活を送っているように見える人間でも、ある日1型糖尿病を発症することはあるし、その病気とはずっとうまく付き合っていかなくてはいけないことを、1人でも多くの人に共感してもらえたらと思います。
頑張りすぎはよくないですが、運動習慣は継続するようにしています。具体的には自転車や徒歩を通勤に取り入れたり、夕食後には筋トレのためにジムに行ったり、週末にロードバイクや登山を楽しんだりしています。さらに国内外への出張もこなしているため、これらの日々の過ごし方により、健康的教員・父親・息子と認知されていると思います。
現在インスリンポンプを使っていますが、小型で24時間働いてくれるので満足しています。血糖のコントロールにはとても役に立っており、人前で注射をする必要がないことなど、生活をする上では非常に便利になったと思います。一方、ポンプに変えてから、会議中のアラートや随時表示される数字に右往左往することがあるので、自己注射の時にはなかった苦労もあります。将来的にはスマホやパソコンを使い自分で血糖やインスリンのデータを自動管理できたり、主治医や家族も含めてリアルタイムで確認できたりするといいですね。また、薄型や、服巻き型の機器ができるといいな、とも思います。